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月夜の欠片

第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)


天元からいただき大切に育てている薩摩芋が植えられた小さな畑はどうにか無事だったものの、辛うじて木にくっついていた葉はほぼ地面へと落ちてしまっており掃き掃除が2人を待ち受けていた。

しかし門下生たちが手伝ってくれたので随分と早く無事に片付けを終わらせることが出来た。
その対価として事の成り行きを全て話す……と言う条件もなんとか達成した。

年頃の門下生たちに全ての事を聞かれ話し、今は井戸の前で順番に手を洗っているところだ。

「やっぱり師範代のこと好きだったんじゃ……ムグッ!」

空気の読めない門下生のとんでもない発言は実弥の手によって強制的に遮断された。

「てめぇ……今度でかい声で言ってみろ。血反吐吐くまで稽古付けてやるからなァ」

がこの場にいないとはいえ、庭で大きな声を出せば屋敷の中まで聞こえてしまう。
それは実弥としてはどうしても避けたい事態だ。

自分の気持ちをが知ってしまったら、また変な方向に考えを巡らせて悩みに悩むことが想像に容易いからだ。

「俺はが君の気持ちを知ったとしても、きちんと向き合ってくれると思うが……何とも複雑な気分になるな!まさか不死川と好いた女子が同じになるなど夢にも思わなかった」

そろそろ呼吸をさせてやらねば失神してしまう門下生を実弥の手から解放してやり屋敷の…… がいると思われる台所の方へ視線を向ける。
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