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月夜の欠片

第1章 ※月夜の軌跡 9章


静かな部屋に甘い声が響き一際大きく背が仰け反った。
それと同時に杏寿郎のモノを握る手の強さが反射的に強くなり、自身でも驚くほど昂っていたモノから半ば強制的に欲が吐き出された。

「はぁ……。?……気を遣ってしまったか。フフッ、初めてのことでこうも乱れてくれるとは思ってもみなかったぞ」

白く滑らかな肌に乱れた髪が流れ、紅潮したままの頬は生理的に流れた涙で濡れている。
杏寿郎はそれを指で拭ってやり、乱れた髪を整えるように優しく梳いた。

「朝起きれば君はまた顔を真っ赤にするのだろうな。それまで……ゆっくり体を休めてくれ」

返事はもちろん返って来ないが、杏寿郎は幸せそうにの熱のこもった体を1度抱き寄せると、新しい手拭いで体を拭いてやり、脱ぎ捨てられていた浴衣に手を伸ばし、起こさないようにそっと着付けていく。

そうしてだけでなく自分も浴衣を身に纏うと肩まで布団を被せ、浅いながらもスヤスヤと寝息を立てているの頬に手を滑らせた。

「頑張ってくれてありがとう。誰よりも大切で愛おしく想っている……、おやすみ」

唐突に強烈な眠気に襲われた杏寿郎はそれに抗うことはせず、そのまま微睡んで深い眠りへと落ちていった。
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