第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812～1813ページ

背中を反らせ小刻みに震える体から気を遣ったのだと理解出来る。
そんなの様子を愛おしそうに目を細めて眺め、浴槽にそのまま沈んでしまいそうなほど脱力した体を抱き寄せた。

「あぁ……もう本当に愛らしい。ずっと変わらないでくれ、このままの君がどうしようもなく愛しいのだ。体も声も表情も……こうした反応も全てが愛しい」

「んん……はぁ。そんなに私のことを愛らしいと仰って下さるのは杏寿郎君だけです。きっと変わりたくても変われません……杏寿郎君のお声やお顔もお体も全て大好きなので、ずっとこのままです」

微笑み紅潮させたままの頬を杏寿郎の頬に擦り寄せ、幸せそうに小さく息を零して完全に身を委ねて肩まで湯に浸かりホッと一息。

「何とも喜ばしいことだ。あと少し体を温めたら出よう。逆上せてしまっては体に良くないからな」

完全無防備なに対して湧き出る欲を抑え、ただただ身を委ねてくる姿を愛でることに全力を注ぐ杏寿郎に、は小さく頷いた。

「はい、でも私の体は杏寿郎君のお陰様ですでにポカポカですよ？杏寿郎君が温まったら出ましょう」

「何と！俺も君の姿を見て体が熱くなってしまっている！……出ようか」

2人で顔を見合わせて笑い、脱衣場へと移動した。