第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
「腕では不安定だろう?俺の体にもたれるといい」
「ん、は……い」
が腕を掴んでいた手の力を緩めると、言うことの聞かない力の抜けきった不安定な体を開放された腕で支え、あまり衝撃を与えないようにゆっくりと自身の胸元にもたれかけさせてやる。
杏寿郎の指や腕が肌に触れる度……背中に感じたほんの僅かな衝撃にさえもの体が反応し小さくピクリと震え、顔を紅潮させるに杏寿郎は笑みを浮かべて頭を撫でた。
「窮屈ではないか?布団に横たわっても……」
「このままがいい……でもワガママが許されるなら、杏寿郎君に抱き着かせてもらいたい……です」
その言葉を実現させるためか、弛緩しきった体をモゾモゾ動かしてどうにか杏寿郎の胸元へと向きなおらせようとしているが、まだ上手く力の入らない体では願いは叶わない。
もどかしさから瞳を潤ませるに庇護欲を掻き立てられた杏寿郎は、笑みを深めてギュッと体を抱き寄せてからふわりと体を持ち上げて軽々とその願いを叶えてやった。
「泣かないでくれ。そのような小さな願いは俺がすぐに叶えてやる。何だったらこの体勢が心地好いならばこのまま眠っても構わない。もっとワガママを言ってもいいし、甘えてくれてもいいんだ」