第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
「指先が入ったが痛くはないか?」
「ぅん……痛くない、です。でも……全身がゾワゾワするの」
その言葉通り、体が小刻みに震え呼吸も浅くなっている。
腰は切なげに揺れて自ら痛みを軽減するかのように蜜が溢れ、杏寿郎の指を湿らせていく。
(濡れ具合は問題なさそうだが……狭いな。指一本でも痛みを伴うかもしれん)
「ん……続けていただいて、大丈夫です。痛みがあったとしても……それは幸せな痛みです。お願い」
心を読んでいるのかと思うほどに杏寿郎の懸念を拭う言葉を発するの頬に自身の頬を擦り寄せ、未だに揺れる腰に腕を回しキュッと抱き寄せた。
「俺の方が癒されてしまうではないか……分かった、動かすぞ?」
「は……い」
痛みを最小限にとゆるゆると指を進めるも、杏寿郎の指を異物と捉え押し出そうとするように圧迫しており中々進まない。
それもそのはず、の体は知らず知らずのうちに緊張や戸惑いによって強ばっていたからだ。
杏寿郎は腰に回していた手をの頬に当て自分の方に向かせ口付けを落とす。
すると今まであった抵抗が嘘のようになくなり、少し力を入れていた指が一気に根元まで入ってしまった。