第4章 魔女
『甘いもの、大丈夫。食べれる』
その言葉を聞いたルチルはホイップクリームとイチゴが挟まれた可愛らしいサンドイッチを手に取るとセレーネの前に差し出した
一向に受け取る気配のないセレーネにルチルは少し困ったように笑った
ルチル「セレーネさん、お口大きく開けてくれますか?」
言う通りに素直に開いた口にルチルはサンドイッチをそっと口の中に入れた
ルチル「そこでサンドイッチを一旦噛み切って下さい。そう、お上手です!そうしたら次はよく噛んで飲み込みましょう!」
さながら幼稚園児に教えるかのようにサンドイッチを食べさせるとセレーネはちゃんと飲み込んだと言わんばかりに口を開いた
ルチル「はい、よく出来ましたね!残りも食べちゃいましょうか」
ルチルはセレーネがサンドイッチを無事咀嚼できているか確認しつつ丸々一つ食べさせることに成功した
ルチル「ご馳走様でした!」
『ご、ごちそうさま でした?』
ルチルが両手を合わせてそう言うとセレーネも首をコテンと傾げながらルチルの真似をする
ミチル「あ、セレーネさん!口元にクリーム着いてますよ。僕がとってあげますね!!」
『ん……ありがとう』
ルチル「ね、美味しかったでしょう?ネロさんはお料理がとっても上手さんですよ。あ、ネロさんって言うのは……」
『さっきのこれ持ってきてくれた……エプロンの人?』
ルチル「はい、そうです!ちなみに、あそこにいるお2人はシノとヒースでフィガロ先生と一緒にお部屋に入って行ったのがレノさんです!」
『シノ……ヒース、レノ……』
教えて貰った名前と顔を一致させるように呟く。
シノ「呼んだか?」
『ぴっ……!!』
シノ「ピ……?」
ヒース「おい、シノ! すみませんびっくりさせてしまって……」
『えっと、大丈夫……』
いつの間にか近くに来ていたシノとそれを追って近寄ってきたヒースにびくりと心臓が跳ねたが、2人とも優しそうな雰囲気を纏っている
シノ「俺たちを見てただろ、何か用か?」
ルチル「えぇ、セレーネさんにお2人のお名前を教えていたんです。よろしければ一緒にお話しませんか?」
ミチル「ネロさんの置いていったサンドイッチもありますよ!僕達だけじゃ食べきれないので一緒に食べませんか?」