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君想う

第5章 秋の心地いい風


実弥と恋仲になってからも2人の距離感に変わりはなかった

2学期も始まり忙しくなる実弥とはすれ違いが多くなっていた
玄弥も一応受験生ということで不死川宅には極力行かないようにしていたちひろ

ちひろもちひろで定食屋が忙しく
アルバイトの女の子が就活で辞めたこともあって朝から晩まで働く日々だった

キスはあの日以来していない

「足りない」

お互いがそう思っていた



10月に入れば玄弥も願書を出してひと段落はする
それまでの我慢だと決めて日々頑張ることにしていた

「はぁぁぁ」
「ちひろさん!なに溜息ついてんすか」
「功くん」
「疲れ溜まってるんじゃ」
「実弥が足りないのー!」
「はっ、そんなん俺にしとけばいいじゃないっすか」
「実弥がいいの!」
「そーですかー」

功にはすぐに実弥と恋仲になったことを伝えていた
初めは驚いていたが「やっぱり」と納得したようだった
でも「諦めない」とアプローチが続く日々
実弥もそれを聞いては気が気じゃなかった

「はぁ(あいつ大丈夫かぁ。あのガキしつけぇからなぁ)」

実弥は学食でうどんを啜りながら思う
学食が生徒たちでガヤガヤとしている
実弥がそんなことを考えていると女子生徒から声をかけられる

「さねみーん!一緒食べよー」
「先生、だろォ」

女子生徒はキャッと言いながら実弥の前に座る

「さねみん彼女できたー?」
「...」
「うっそ!前はいないって言ってたのにぃ!?」

うそー!と大袈裟に叫ぶ女子生徒にうんざりしつつも黙ってうどんを啜る

「どんなひとー?私より可愛いー?」
「あたりめぇだろ」
「ショックなんだけどー」

食べ終わった丼を持ち立ち上がる「もう行くのー?」と女子生徒が言ってくるが後ろ手で手を振るだけして食堂を後にした





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