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君想う

第3章 しとしと雨降る


約束のデートの日
ちひろはいつもよりおめかしをしていた

白のワンピースにブルーのカーディガン
メイクもいつもはしないリップをつけて
マスカラは控えめに

待ち合わせの公園のベンチに座ってスマホをいじっていると
「よぉ」と頭上から声がした

「あ、実弥」

顔を向けると実弥はいつもと違うちひろにたじろぐ 

「なにめかしこんでんだぁ」
「いいじゃないたまには」
「映画の時間あるからいこ!」

実弥の腕を引きちひろは早足で映画館へと続く駅へと向かった



「映画あんまり怖くなかったね」
「なんでホラー映画選ぶかねぇ」
「口コミではおもしろいって書いてあったから〜」

観終わった後は映画についてアレコレ話しながら昼食の店を探す

「わり、ちょっとコンビニでタバコ買ってくるわ」
「うん」

ちひろはコンビニの外で実弥を待つ

「お姉さんお時間よろしいですか?」
「はい?」
「こんなお仕事紹介してるんですけどどうです〜?儲かりますよ〜」

それはいかにも怪しいチラシ
ちひろは「結構です」と返事をするがなかなか引かない男

「おい」

実弥がコンビニから戻ってきた

「あっ彼氏さんご一緒だったんですね〜失礼しました〜」

人混みに消えていく男

「なんだったんだよ」
「なんか怪しいチラシ見せていい仕事って言ってきた。断ったけどね」
「おめぇがそんなめかしこむから声かけられんじゃねぇの」
「なに?実弥は今日の私可愛くないの!?」
「かっっっつ、ゎぃぃんじゃねーの....」

「可愛い」と素直に言えない実弥は言葉を詰まらせながらなんとか誤魔化す

「なにそれ」
「まぁまた変なのに声かけられねぇように俺から離れんなよぉ」
「...うん(あれ?...今のちょっとキュンとした)」

実弥の言動に自分の心境に驚きつつあるちひろ
歩く実弥に置いていかれまいとピタッと横に並ぶ
自然と実弥はちひろの手を掴む

「人多いからな」

実弥の耳が少し赤くなっているのは気のせいだろうか
かく言うちひろもドキドキと煩い心臓の音が聴かれまいと「そうだね」と返事をしたのだった


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