一緒に灯台の光を灯し続けよう(アイナナ大神万理夢)
第3章 行方不明の女子力
慌てて頭を下げる私の頭に大神さんの大きな掌が乗る。そこに神経が集中していくのか熱を持つ。
「どんなに疲れても君のいれてくれるコーヒーでまた元気になれるんだ」
「コ、コーヒーって凄いですね!」
「コーヒーも凄いけど、バリスタで自分でいれるよりも格段とさんがいれてくれる方が凄いんだよ」
掌の熱が離れて顔を上げると、苦笑した大神さんと目が合う。そして、顔が良すぎるトップアイドルの片割れを担い、尚且つ人気を二分してた程の顔面偏差値の元アイドルが唐突に私へウインクしてみせた。
「きっと、さんの俺への愛がたっぷり入ってるからだと思うんだ」
「ぐはっ!」
ウインクと共に繰り出された言葉が私にクリティカルヒットを与える。間違いじゃないだけに…。胸元をギュッとおさえて震える私に、大神さんはニコニコと笑っている。
「え…? なんで知って…」
「ん?」
「え?」
振り絞った私の言葉に大神さんが笑顔で首を傾げる。その大神さんに首を傾げる私。そして……、不用意に発言した内容を頭の中で反芻して……口走ってしまった言葉を想い人その人に聞かれていた事に気付いた。
「「!?」」
気付いたら私は立ち上がっていた。
「え、あ、いや…冗談のつもりで…」
「そんな事冗談で言わないでください! 好きなのバレたのかと思っ……あ」
「さん?」
「あ、いえ! き、聞かなかった事に……」
「は出来ないかな」
俯いて口をおさえても発言した言葉は聞かれていて……。テーブルを回ってきた大神さんに優しく正面から抱きしめられる。
「さん、俺の事好きなの?」