第2章 そろそろ野獣の本性出しても……
「許さない」
「え……」
「どうしてそんなにお酒臭いの?」
うわ、やっぱりそうきたか。
「ごめん記念日を忘れたわけじゃないんだ。
だけど僕キミのために……」
「もうー、記念日だってことはちゃんと分かっててくれたんだね」
「ちゃん……」
「仕方ないなぁ、悲しいけど許すよ」
俺は感極まって捨てられたケーキを本当に食べようとした。
「もう、また作るから」
「ちゃん、この映画の試写会一緒に見に行かないか」
「錆びない青。のチケット?
嬉しいありがとう五条さん!」
俺はその言葉で5年分ぐらいの幸福を味わったのだった。
翌日の映画の試写会。
映画は佳境に入ったところだ。
ちゃんの手をぎゅっと握りしめながら、鑑賞する。
俺は映画を見るふりをしながら、ちゃんの様子もうかがう。
隣ではがちゃんが頬を真っ赤に染めて映画に夢中になっているのがわかる。
……この映画ちゃんにはちょっと刺激が強かったみたいだ。
「私R指定だなんて知らなかった……!」
スクリーンの中では女に覆い被さる男が怪しげな動きをしていた。
それも周りに知られてはいけないミッションの最中にやっている。
こういうプレイは呪術師に手を出さない僕はやったことないんだけど。
ちょっと再現してみるか。
そっと握る手を滑らせてちゃんのミニスカートから覗く暗闇でぼんやりと浮かび上がってくる太ももに触れてみる。
びくっと反応する身体。
普段のちゃんだったら振り解くのかもしれないだけど、映画の雰囲気に当てられてだろうか、彼女はじっとスクリーンを見つめたまま抵抗はしない。
そのスクリーンに映るは大人のスリリングなシーン。
映画の中の男にリンクさせるように太ももをたどってついに下着に触れてみる。
反射的に手を伸ばして俺の下着へ侵入しようとする腕を静止しようとするちゃん。
だけど弱々しい。
僕はすっかり参ってしまった。
まさか映画にこんな罠があると思わなかった。
我慢できずにちゃんに手を伸ばしてしまったけれど、かわいい反応するちゃんに僕の股間がもたない。
映画の終わりまでは耐えられるとしても、そのまま解散ではどうにも収まりがつかない状態に僕はなっていた。