第3章 蝶屋敷
「着いたぞォ。」
深聡と実弥は大きな門の前で止まった。
実弥はゆっくりと深聡をおろす。
「不死川様。ここまでお運びいただきありがとうございました。」
「気にするなァ。」
深聡が改めて実弥に向かって礼を言う。
「胡蝶様のお屋敷は想像を超えるほど立派ですね。」
「まァ、隊士たちは生傷が絶えねェからこれぐらいの大きさ必要だろォ。」
「姉様ー!」
門の前で深聡と実弥が話していると、千聡と義勇が到着した。
義勇が千聡をおろしたと同時に深聡が近寄り手を取った。
「冨岡様。妹を連れてきていただかありがとうございます。」
「…気にするな。」
そんな3人の傍に実弥が近づく。
「おい冨岡ァ。胡蝶はどうしたァ?」
蝶屋敷の主人が一緒ではないことに実弥は疑問を持つ。
「?……胡蝶?……俺は、不死川を追ってきたから知らない。」
何か問題があるのかと言いたげに義勇が返す。
「お前!俺らの速度にいくら柱といえど、胡蝶がついて来れるわけねェだろォ!」
同僚に気を遣わない義勇に実弥は声を上げる。
「誰ですか?私の家の門の前でたむろしている人は?」
その時突然可愛らしい声が門の中から聞こえた。
「まあまあ、暇人は風柱様と水柱様でしたかー。」
門が開き門の中から蝶の髪飾りをした胡蝶しのぶが現れた。
「それに初めてみる女性を2人も連れて。ナンパですか?」
しのぶは人当たりの良い声で毒を吐く。
「誰がナンパだァ!蝶屋敷に用があるから連れてきたァ。」
「そうでしたか。ところで、風柱様と水柱様がいらっしゃるということは柱合会議は終わったんですよね?姉さんはどこですか?」
「そ、それはァ…。」
実弥が言い淀んでいるとフワリと花の香りがした。
「あらあら、蝶屋敷は私の屋敷なのに私を放って行くなんてどう言うことかしらー?」
深聡たちの後ろにいつの間にかカナエが立っていた。
笑顔で話しているが、怒りを感じ実弥と義勇は体を強張らせた。