第2章 柱合会議
「胡蝶様。」
「何かしら?深聡さん。」
「産屋敷様にはお話を通させていただいているのですが、1つお願いをよろしいでしょうか?」
「お願い?」
「蝶屋敷に訪問させていただけないでしょうか?」
「それは構わないけど、理由を聞かせてくれるかしら?」
「はい。今回の我が一族の鬼襲撃により怪我をされた方たちの祈祷をさせていただけないでしょうか?」
「それは、こちらとしても助かるわ!是非いらしてちょうだい。」
「ありがとうございます。急で申し訳ございませんが、この後お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「大丈夫よ。一緒にいきましょう!」
カナエと話がまとまった深聡は千聡の方を向いた。
「千聡、私は今から胡蝶様のお屋敷を訪問させてもらいます。なので、先に神社に戻っていてください。」
「えっ!」
一緒について行くつもりでいた千聡は、先に帰る様深聡に言われ思わず声を上げた。
「日が暮れるまでに神社に戻れない可能性があります。それに、初めて行く場所になるので千聡の歩く速さでは、今日中に帰るのも危ぶまれます。」
「ですが…!」
深聡は諭す様に言うが、千聡も食い下がる。
「「……。」」
深聡と千聡は見つめ合い黙り込む。
そんな姉妹の姿を柱たちはオロオロしながら見守る。
(千聡を連れて行ってあげたいのは山々ですが…)
「……俺が、千聡殿を負ぶって行く。」
沈黙を破ったのは、滅多に会話に入らない義勇だった。
そのことに玉依姉妹に加え柱たちも驚いた。
「冨岡様。よろしいのでしょうか?」
思わぬ申出に千聡は嬉しそうに尋ねる。
「あぁ。」
千聡の嬉しそうな表情に義勇はムフフと笑う。
千聡と義勇の間で話が纏まってしまったため深聡は折れるしか無かった。
「冨岡様…。お気遣いありがとうございます。」
深聡は義勇に頭を下げた。