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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


思わず俯くと視界の端には祖母の遺体、離れた位置に蹴飛ばしたパルスが呻いている光景と芋虫のようにまだしぶとく逃げようと少しずつ這って私から遠ざかろうとしてる、リベルタのボス。

悟が私の側にやってきた。怒られるの、確定だ。足手まといからの迷惑行為だろうに。悟との約束も……破っちゃったし。前に出すぎてしまった。

「ハルカ!なんでオマエはそう勝手に…!」

口元が怒ってるっていうのが分かる。怒ってるのは分かるよ、勝手に走り出していったもん、怒りのままに衝動的に。
ああ、あの顎に無精ヒゲ生やしたやつはどこに居るんだっけ?確か七海に近い所に居たはずだった、と視線を向ければ既に地に伏していて。
悟を私は見上げた。

『やられたから、やり返さなきゃ』
「駄目だ、さっきからふらついてるし今も術式を使い続けてるだろ!?この術式はヨミさんだろ!?」

肩を掴む悟。見上げてそのアイマスクの奥に隠れるきっと青い目を見つめ返した。閉じていても怒ってるんだろうなぁ。

『龍太郎とマリアは?』
「……もう、上に逃げたよ。オマエは他人より自分を大事にしろよ…」

そっか、と短い返事を返す。人質はもう大丈夫だ、あとはこの場のごちゃごちゃしたのをなんとかすれば良いってわけで。

『電気流すやつはもういい……どうせ私が首をもぎろうとしようともとっくに死んでるんでしょ。
でもリベルタのボスはまだ生きてるから、私がさせられた事を身を以て体験させなきゃ"この孫をなんとか止めてやってくれ"……喋らないでって言ったじゃん、婆ちゃん、私の口はひとつしか"見た目よりも中身が死に向かってる、このままでは"もう呪霊も減ったし還って良いよ』

活動場所を狭めた事もあって、呪霊のほとんどは倒せている。あとは3体程かな。そんな事を思いながら呪霊が近寄れない空間を解き、身体に降ろしていた祖母をあるべき場所へと還して。
ふらふらと芋虫の様に這っているリベルタのボスの元でしゃがみこんだ。
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