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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


パルスは私に背を蹴られ、崩れ落ちるように少し離れた位置にドチャ!と前のめりに倒れこみ痛みで呻いていた。
もう立てないはずだよ、物理的に無理でしょ。切断した足を治す記憶を私に刻まれてるから。それを地べたに転がる彼に再現しただけ。今の彼は這う腕も、立ち上がる足も無い。もう逃げられない。

パルスは両手両足を失い地べたに胴と僅かに残った四肢のままに倒れ込んで呻いていた。
視線をぐるりと隣でまだ立ってる男に移す。

『もう二度と逃げられないにしないと……』

やめっ、と言いかけたボスの、後退りする胸元にとん、と触れた。
後退りする足は滑るようにずれ、ジェンガが倒れる瞬間のように、尻もちを着くように無様にも彼は倒れ込んだ。

「いでぇ…っ!ぐ、腕、足もっ………今すぐに、今すぐに治しなさいっ!」

『なに言ってんの?……治すわけがないでしょう?私があんたに優しくする理由なんてひとつも思いつかないけど?』

ああ、ふらふらする。頭がガンガン響くように痛い。よろめきながら周囲を確認した。視界がブラックアウトしてからじわじわと光景が目に映る。ずっと立ってるのに立ちくらみしてた。
パルスの使役していた呪霊が他の構成員との連携が切れたらしくリベルタ側の呪霊達がリベルタ構成員を襲い始めてる。飼いならされたはずのものが野生に還ったような、荒々しい姿はもう共に戦える仲間とは言えなくなっていて戦線崩壊してる。

「やめっ、あ゙っ…」

ガアァァッ…!と雄叫びを上げる呪霊が構成員に牙を向く。
ザシュ、と呪霊に振り下ろされた逞しい腕で引っかかれる構成員は片腕を千切られていた。その腕を食らい、まだ足りぬと腕以外の体に狙いを定めてる。
こうなる前から高専側は戦っていたから有利にはなったし、一気にリベルタ側は不利な立場になった。そして呪霊も少しずつ数を減らしてきてるみたいだし。

「ハルカっ!」

夏油の居る方向で戦っていた呪霊がだいぶぼろぼろになっていて何体かがこちらに向かってきている。夏油の所だけじゃない、他の場所からも我先にと。目線はタンク、呪力……エネルギーが漏れ出しているからそこで力を吸い取るって算段だ。戦ってエネルギーが少なくなったら補給するってのは当たり前な事。
そのタンクについては私からの位置が近くて、周りは皆戦っていて……悟がこちらを振り返った瞬間を見た。
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