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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第8章 スキルアップ


ぎゅってして、どきどきとして。
戦闘面で強くなれちゃいないけれど、誰かを助けるという面では少しだけ成長が出来た。結果的にその成長が人の"負"を溜め込んで領域展開へと繋がる道だったとしても。それで倒れてしまって悟に心配を掛けてしまったけれど。

かつて誰かにこんなに甘えた事ってあったっけ?と特に甘えたがりでなかった自分を振り返りながらも、まるで幼かった頃に還ったみたいに悟の胸にぐりぐりとすがる。とく…とく…と定期的に時を刻む鼓動が聴こえた。
胸というか頭上で咳払いをされて私は耳を当てるのを止める。

「キミは酷い事するなぁ~…こんなに煽るなんてさ!狡い女だね…」
『ん?もっと煽っとく?』

……もうちょっとで鍋、煮えるかな。
なら少しの間良いよね。近付く悟の顔に私は唇を重ねた。それはほんの数秒のキス。
離れた後には少し前の不機嫌な悟は居ない。

「いつもこうなら良いのにね?」
『今日は特別なんだよ。寂しん坊さんに随分と可愛らしいヘアゴムとか付けられちゃったし構ってあげなきゃね。
ああ、そうだ。悟に付けられたヘアゴム、お返しで付けてやろうか?』

確か制服のポケットにしまってあったか。女児向けの可愛らしいヘアゴム。悟の髪ならギリギリ付けられるでしょ。ツインテールにでもしてやろうか?
やり返そうと考えてる私が見つめる犯人……悟は知ったかぶることもなく開き直ってる。とても良い笑顔だ。

「やっぱりあれは小さな女の子に着けるべきだなって思ったよ!だからゴムはゴムでも避妊具の方を僕が着けるべきだねー?」
『……私のアレが終わってからにして』

呆れながら見上げればそっと頭を撫でられ髪を梳かれて。お返しに手を伸ばして撫でたら悟はくすぐったそうに笑う。
こんなやりとりで、腹部の痛みで沈む私の気持ちが癒やされていく。
絞った火で土鍋が吹きこぼれる事はなく良く煮込まれてる中、私達はどっちからだなんて言えないほどに求め合うキスをした。
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