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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第20章 星空の下で愛を語らう


さっき見ていた木々の方向へと彼と共に歩みを進めていく。
短く刈られた草原をさくさく歩き、木々の生い茂る方向へとただふたり、任務なんて感じさせられないようなデート感覚で進んでる。
悟はふざけちゃいるけれど確かに守ってくれるという安心感はあった。

……流石に見えなかった時と比べれば呪術も体術もあるし自分の身は自分で守れるのだけれど。それでも好きな人に守られるっていう特別感が嬉しい。
楽しげにハミングしながら繋いだ手にしっかりと導かれて。彼のまっすぐ見ている先を見れば、日陰から覗くいくつかの呪い。帳無くともひとりでに炙り出されてるというか、私が寄せてるからっていうか。近付くほどに感じる視線は多くなっていく。

呪いだから呪術師として祓うべきものだけれど、祓える距離まで私が近付く前からねじ切られる様に祓われて消えていく。私がやる前に全ては悟が祓ってる。
見上げた隣の悟は口元に弧を描き、空いた手でピースサインをした。いえいっ!…と。

「もっと僕を好きになっても良いんだよ、ハルカ?ぎゅっとしがみついたって良いんだし?」

……軽くたくさんの呪いを祓う実力を持ちながらに何を言ってるのやら、この男は。可笑しくて笑っちゃう。

『ぷっ…!これ以上好きにさせてどうすんの』

「限界超越するまで僕を好きになってよ、ハルカ。僕もオマエをそれ以上に好きになってるんだから」

結構これでも悟のこと、物凄く好きになってるハズなのだけれど。見えない、測ることの出来ないものを子供みたいに競い合う。

『悟が思ってる以上に私はあんたの事好きになってると思うんだけれどなー』
「えー?数字にしたら?」
『100?』
「じゃあ僕は1000だ、1000。キミの十倍ハルカが好きだね!」
『じゃあ10000』
「ふーん、なら僕は無限大数」
『うっわ、やり方きったな!すぐ最大値出すー』

今どき小学生でもやるか分からないような言い合いで声を出してくすくすと笑う。そんな中でも少し力を込めた繋いだ手。互いに数値には出せないくらいに好きだってのは分かる、でもそれでもこれ以上好きになるというのは病のような領域。
決して繋いだ手は緩めることなく、薄暗い森の中へと呪いを祓いながら私達は足を踏み入れていった。
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