第15章 クリスマスイブ
「わー!ありがとうございます!私も開けてみていいですか?」
「もちろん」
何だろう~って言いながら、そわそわとした気持ちでリボンを解いていく。
「あ!手袋!」
「いつまでも俺のってわけにもいかないでしょ?」
手袋なし生活を送っていると言った次の日。
とりあえず、ないよりマシだと思うからって、黒尾さんの手袋を貸してもらった。
で、それからは黒尾さんの手袋をして通勤する日々。
当たり前に大きいし、もちろんデザインも男性用だけど。
黒尾さんのだと思うと嬉しくて。
結局、未だ買わずに借りっぱなしになっていた。
「ありがとうございます!手触りすべすべ……」
シンプルなデザインの黒の手袋。
「気持ちいいよね?」
黒尾さんが私のことを考えて選んでくれたのかと思うと、もっと嬉しくなる。
「はい!あ、じゃあ借りてた手袋返さなきゃ」
今日も元気に駅まで自転車!
だからバッグの中には黒尾さんに借りた手袋。
「あ、でもクリーニング出すのでもう少し待ってもらってもいいですか?」
「よければ持ってて?もしまたなくしたらその時に使える用に」
「………ありがとうございます。絶対無くしませんけど、念のため」
黒尾さんのものをそのまま貸しててもらえることにも
これからも一緒にいていいのかなって。
ゆるゆると頬が緩むのを抑えるために、ギュッと唇を噛む。
高校生の時は"おそろい"に興味はあったけど、
でもいつからか興味はなくなって。
だけど、黒尾さんへのプレゼントを選ぶ時
つい自分用にもお願いしてしまった。
シンプルな黒のボールペンだから、よく見ない限り同じものだとは気づかれないだろう。
だけど、同じものを持ちたくて。
初めての気持ちをいっぱい知る、
25歳の12月。