第14章 12月(翌朝)
お皿に盛り付けていたら黒尾さんがやってきて。
「お、めちゃくちゃ美味そうじゃん」
って。
「黒尾さん、プロ級に料理が上手かったりしますか?」
「は?なんで?」
「いや、調味料やスパイス系が充実してるので………」
「あーーー(笑)たいして上手くないよ。
調味料が山のようにあるのは、たまーにちょっと凝ったもの作りたいなって思って、その都度買ってたらこんな風になっちゃっただけ。
だから逆に減らなくて困ってるよ」
「私凝ったもの作れないからこんな朝食しか準備できないんですけど、大丈夫ですかね?」
「朝からこれだけ準備してもらえれば十分すぎるよ。
これ、持ってっていい?」
「あ、はい。お願いします」
それからご飯もよそって。
向き合って座って手をあわせる。
「んー。美味い。毎朝こんな感じで作ってるの?」
「そんなわけないじゃないですか」
ここで「はい、そうです」
なんて言えたらいいんだけど。
あまりにもかけ離れた朝食を食べているから、さすがに気が引けて
嘘はつけなかった。