第10章 12月
海に行った日は私がそれどころじゃなくって、黒尾さんの車なんて気にする余裕がなかったんだけど。
先週、水族館に行った時
迎えにきてくれた黒尾さんに実はものすごくときめいてしまった。
それを黒尾さんに伝えると、ドヤ顔しながらもなんだか少し恥ずかしそうな黒尾さんも見れて、得した気分になった(笑)
「はいっ!イメージ通りすぎ!
で、海行って?」
「いや、それが海に行く前に私がやらかして」
「え?なにやらかしたの?」
「黒尾さんと会う前に、SNS見てたの。
そしたらさ~」
これを話すのももちろん初めてだけど。
今回はすでに笑い話。
すべては黒尾さんのおかげ。
「いや、まじで、うん。とりあえず、大変だったね」
「ほんとに。黒尾さん、ずーっと泣いてる私の相手させて、ほんっと申し訳なかった」
「いやでも。黒尾さんってほんとに奈々のこと好きなんだね」
「そうだと嬉しいな」
「そこは自信持っていいと思うよ?
てか黒尾さんと付き合うって、どんな感じなの?!」
「たぶん想像通りだと思うよ?」
たぶんほんとうに。会社と同じで優しくて。
そして空気が軽くて、って。
なんだかよくわからない表現のような気もするけど。
とにかく、一緒にいて楽しい。
「想像を現実にしたいじゃん!
で?デートなにするの?どこか行った?」
「先週一緒に水族館に行った」
「なにそれ~。私も水族館いきたーーーい!」
「さおりは年明けたらね。
会社と一緒ですごく優しくて、あと一緒にいて楽しい、というか新鮮」
「人生2人目の彼氏だもんね?」
「そうそう。なんか大人の男の人って感じ。
いや、そうなんだけど。やっぱり学生から知ってるわけじゃないから、なんか違うよね」
「いーなぁ!ドキドキしてる?」
「うん。なんか恋愛ってこんなに楽しいんだっけ?って」
「素直でよろしい!黒尾さんが彼氏かぁ。うーん、やっぱりいいなぁ。
あ、で。夜はどうだった?」