第10章 新婚旅行(K.A)
仲居さんの勧めもあり、食事前にそれぞれで大浴場に入った。これはこれで、素晴らしい。ほんとに俺のような若輩者がすみません。と言いたくなってしまいそうだ。
大浴場の入り口のマッサージチェアに揺すられながら彼女を待った。運転の疲れもあったのか、意識が遠のいていく…まだ…何もしてないのに………
「……かずきくん、和輝くん…」
愛しい人の声がする、ここ、どこだっけ…
「起きないと、ちゅーするよ…?」
それは起きる訳にいかない。目を閉じたまま、唇を尖らせて待った。
くすくすと笑う声の後に、唇に軽く何か触れた。んー、足りない、
薄目を開けると湯上がりでツヤツヤお肌の愛しい人。すごく綺麗でうっとりと見つめた。
「寝ぼけてるの?お部屋戻ろう?」
「…もう一回、ちゅう、して」
困ったように眉を下げて笑いながら、
「人が来ちゃうよ…」と言いながらも優しく唇を重ねてくれた。
すると俺のお腹が「ぐう」と鳴った。唇を合わせたまま2人で笑い合い「戻ろっか」と俺の手を引っ張り立たせてくれた。