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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第19章 全てを、キミに。【side東堂】


屋台のおじさんはを見て、固まった。

「ってすげー美人じゃねーか!
おじさん二度びっくりだわ」
「そうだろう!何しろオレが見初めた女子だからな!
行くぞさん。
次はそうだな……あそこの射的だ!」

金魚すくいを後にして、射的の屋台までやってきたふたり。

「欲しいものはあるか?」
「うーん、キャラものとか、小物とか、あんまり普通の女のコらしいものに興味ないからな……
あのマイクロSDカードなら、ちょっと欲しいかも。
普通に買ったら、高いし」

「そんな地味なものでいいのか?
お安い御用だが」

地味だけど……的は一番小さくてきっと難しいよ。
かっこつけて、獲れなかったら笑ってやろうとが思っていると。

「ほら、獲れたぞ」

東堂は一瞬で当ててしまっていた。

「…………」

は何も言えなくなった。
見た目だけでなく、東堂は行動も有言実行でかっこいいと思ってしまったからだ。

他にも、行きたいところが言えないでいるを連れ回して一番当たりの景品を獲ったと思ったら、に渡してくる。

しまいにはふたりで両手いっぱいに持っても、持ちきれないくらいになった。

「東堂くん……すごく嬉しいけど……もう持ち切れないよ。
一体何のつもりなの?」
「む。ではこのくらいにしておくか」

目の色を変えながら、景品を当てまくっていた東堂に疑問を感じながら歩いていると、人のまばらな、拓けた林道に差しかかった。

するとドーーーンと花火が上がる。

「わあー綺麗だね、これが見たかったんだ」

はしゃぐに、東堂は優しく微笑むと言った。

「ああ、オレもその顔が見たかった。
花のように笑うその顔が。
さん……この心はとっくにキミに捧げてしまったが、オレの与えられる全ての物、想いはキミに永遠に捧げよう。
オレは代わりにキミが欲しい」

東堂は両手いっぱいの景品をの手から取って、地面に置くと、いつかのように両手での手を包み込み、その指にキスを落とした。

むらさき色の花火がバーーーンと打ち上がった。
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