インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第1章 きらりと光った涙
少年をどんっと突き飛ばして女はその場から逃げ出そうとした。
「待って!オレは真波山岳!知っての通りハコガク!
キミは学校どこなの?」
「…………教えないっ」
べーっと舌を出したあまりにかわいらしい姿は、真波の胸に刻みつけられた。
女が去って行った方向を見つめながら
「いい出だしだな。
あんな面白いコに会えるなんて」
真波はひとり呟いた。
ふと地面がきらきら光っている気がしてしゃがみこむと、落ちていたのは小さな蝶のチャームがついたペンダントだった。
「あのコの忘れものかな?」
真波はペンダントをポケットにしまった。
時計を見やると、すでに九時半を回っている。
「あーあ、初日からカンゼン大遅刻だ。
まあいいか。またおんなじ学校の委員長怒るかな―――……」