第33章 ※反魂人形④
「……会えなくなる分だと思って、今日はもう、僕に抱き潰されて」
そんなこと言われなくても、五条先生がくれるものを拒むわけないけど。
でも会えなくなるんだと思ったら、むしろ私の方からそれを願ってしまうの。
「先生で……いっぱいにして、ください」
五条先生の頬に手を伸ばして、自らキスをする。
言葉以上に想いが伝わればいいのにって、そんな願いをこめて。
繰り返したキスを全部受け止めて、五条先生は苦笑した。
「マジで……ちょっとでも離れるの、僕の方が無理なんだけど」
そんなことありえない。絶対、私の方が無理なんだよ。
でもコレが『依存』なんだって。
きっと今の関係は、五条先生の足枷にしかならないって。
壊れた頭でも、それが分かるから。
五条先生が私のために考えてくれた『本当の仲直り』をするために。
死ぬ前のように、五条先生と冗談言って笑い合えるように。
「五条先生」
これから先も五条先生のそばにいるために。
「……また、私のご飯……食べてくださいね」
未来の話をした私を、五条先生は困ったように笑って。
「美味しいの、作れるようになっといてよ」
しばしの別れを、惜しむように。
私と五条先生は何度も何度も、身体を重ねる。
溢れる気持ちを、心に隠して。
互いの証を、その身体に刻み込んだ。