第32章 反魂人形③
「……これ」
視線を下げれば、私の首に指輪がぶら下がってる。
「首輪だよ。……放し飼いにするけど、野良猫にするつもりはないから」
その指輪に触れてみれば、内側に【Unlimited】の文字。
刻まれた言葉は、それが五条先生の証であることを主張していた。
「皆実」
綺麗な夜景を背景に、シンプルなリングがキラキラと光ってる。
そのキラキラが、私の霞む視界で揺れてるの。
「僕は、ちゃんと誓うよ。僕の気持ちはこの指輪に込めた」
私がまた、ちゃんと笑えるようになったら。
迎えに来てくれるって。
「だからオマエも、呪いに負けない呪術師になれ」
次に五条先生のもとへ帰るとき、強い私であるように。
込められた願いが、触れた指輪に刻まれていく。
「強くなれ」
嘘つきな私の、真実だけを求めて。
五条先生が私にキスをする。
「そんで……僕と誓える皆実になってよ」
別れのキスは、ざわめきと無数の光の元で、甘く溶けた。