• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第30章 反魂人形


「私が……入りたいんです」


 耳を疑うようなセリフを、恥ずかしげもなく皆実は口にする。

 おそらく、しっかり寝ぼけてる。


「五条先生と、温泉……楽しみにしてたんです」


 そう口にして、皆実が僕にキスをする。

 本当、いつからこんなに積極的になったんだろうか。


 きっとこれも、僕への罪悪感がさせてるんだろう。


「皆実」


 皆実が僕に縋っているだけだと分かっていながら、僕はその言葉に抗わない。


 でもこれは、皆実が僕に流した呪いのせいなんかじゃない。


「……のぼせても、知らないからな」


 僕は皆実を抱きかかえたまま、行く先を変える。


 期待するような皆実の顔を見たら、ずっと僕のそばに置いておきたいと、心の底から思ってしまう。

 七海に頼んだことも全部、帳消しにしたくなる。


 でもそうしないのは、それだけ皆実を大事に思うからだ。


 この感情も全部、皆実の言う通り『呪い』に翻弄された結果なのだとしたら、それは皆実が僕にかけた『呪い』じゃない。


「……余計に疲れさせちゃったら、ごめんね」


 僕が望んで、僕自身にかけた『呪い』なんだ。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp