• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第23章 雨後③


「あい、たかった……です」


 嘘偽りない本音を、口にする。

 何を引き換えにしても、五条先生に逢いたかった。

 逢ったら余計に、逢いたかった気持ちを実感したの。

 もっとずっと、五条先生のそばにいたいって。


「ごめ、なさい」


 裏切ったことも、後悔しないって。

 心に誓った。

 生き返って、やっぱり後悔はしなかった。


 でも……苦しいよ。


「ごめん、なさい」


 勝手に死んじゃって、ごめんなさい。

 心配かけて、ごめんなさい。

 五条先生を、裏切って。


「ほんと、に……ごめんなさい」


 どんどん声が清らかに鳴っていく。

 でも音になる言葉は、悲しい言葉ばかりで。

 もっと言いたいことはいっぱいあったはずなのに。


 頭に浮かぶのは、どうしても……五条先生を裏切った事実で。


 何度も謝る私を黙らせるみたいに、五条先生の腕が私の身体をきつく抱きしめた。


「……もう、謝るな」


 呪いまみれの私には、もったいないくらいの優しい声。

 その声で紡がれる言葉が、私以外に向けられるのなんて、やっぱり嫌なの。


「……皆実」


 五条先生に逢えたことがこんなにも嬉しいのに、こんなにも辛い。


「おかえり」


 その言葉を聞きたかったのに。

 聞いてしまったら、涙が止まらないの。


「五条、先生」


 溢れた涙と一緒に、裏切りの記憶も全部、流れてしまえばいいのに。

 辛い感情ごと全部、消えてしまえばいいのに。


「……ただいま」


 抱きしめ返した私の腕は、嘘と涙で汚れてた。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp