第22章 ※雨後②
「やぁあ……あぁっ、ん、んんっ、た、すけ……て」
身体の震えが止まらない。
意識が消えそうになるのが、怖い。
私の身体が私のものじゃなくなるみたいで、怖いの。
《もう、限界か?》
宿儺が笑って、その吐息がまた耳にかかる。
ささやかな刺激に、身体がピクリと震えて。
もう、無理……なのに。
《まだ……イかせはせぬぞ》
ズルリ、と指が抜かれた。
熱が廻りきって、冷めない身体が、ズクズク痛んで。
指の抜けた穴がヒクつくのを抑えられない。
《物欲しげな顔だな》
思考が、回らない。
宿儺の愉悦の表情なんて、見たくないのに、目が離せない。
宿儺の指から滴る呪力が、パタパタと屍に落ちていく。
《指だけで、ここまでとは……つぐづく濫りがわしい身体だ》
自らの指に舌を這わせ、宿儺の顔に恍惚の笑みが浮かぶ。
《ああ……たまらんな。……もう、待ては聞かぬぞ》
宿儺の手が自らの下腹部へと伸びる。
着物をはだけさせれば、簡単に宿儺の昂りが顔を出した。
《目を逸らすな。……よく見ろ》
顔ごと逸らそうとしたのに、宿儺に後頭部を押さえつけられた。
向かい合う私と宿儺の身体の隙間に、隔たるようにして勃っている。
私の拡げられた股のすぐそばで、その昂りが透明な液体を垂らして艶やかに濡れている。
《オマエが欲しくてたまらないと、喚いた痕だ》
この先、宿儺がしようとしていることなんて一つだから。
私はそれを、許したくはないのに。
契った身体は、それを拒むことを許されない。
《本来の俺の身体であれば……もっと雄々しいモノをくれてやれるが》
宿儺の本体は遥か昔に朽ちて消え失せている。
今の宿儺の形はあくまで、受肉した虎杖くんの身体に引摺られた姿。
だから今、目の前にあるのは……宿儺の身体ではなく――。
《小僧のくせに、モノは悪くないようだ》
――虎杖くんの身体。
そう考えても、過言ではない。
けれどそうであると思えば思うほど、余計に直視なんてできなくなった。