イエローサブマリンの船長に溺愛されて北の海の果てへ[ロー夢]
第3章 不自然な襲撃
数日後、ペンギンはすっかりよくなり、いつも通りの航海が続くと思われた。
その矢先、船上の見張り台に立っていたシャチが悲鳴を上げた。
シャチ「敵襲だー!船長おお!」
ロー「了解!総員、戦闘準備!甲板に出ろ!」
「敵襲……?!」
ロー「お前は船長室に隠れてろ!」
「はっ、はい!」
パタパタ……コンコン……ドアを開けて、閉める。
「船長室ってこんな広かったんだ。ってそんな場合じゃない!奴隷とはいえ、おそらく刃物を持った敵とやりあったことなんてない……みんなは、大丈夫かな。怖いよ」
バキッ!扉が破られる。
「そんな……!」
敵海賊「すげぇ、青目ブロンドの女かくまってやがる!オレが最初に見つけたんだから、オレのもんだよな、青目ブロンドちゃん、ゲットだぜっ!」
「いや……」
「助けてっ」
「ルーム。シャンブルズ」
怒気を含んだ技名を述べる声とその直後、ゴシャカン!と無様に吹っ飛ぶ敵海賊。
ロー「死ね、あほ海賊。単体で意気揚々と船内探索してたようだが、お前らの仲間はとっくに全員捕まってる」
キンキンキン!
ロー「捕縛完了。……雑魚すぎた」
「雑魚すぎたって言う割には、すごく怖い顔してるよ、ローさん?」
ロー「元からだ。お前は気にするな」
「いつも、助けてくれるね」
ロー「当然だ、お前の爪先まで全てオレのもんだ」
「所有物を傷付けられたら、許せないってわけね」
ロー「……それにしても、今回の襲撃……潮の流れにこれだけ逆らった航路なのに、偶然海賊と出くわすものか?あっちは準備万端だったのも気になる」
「え?どういうこと……」
ロー「一人ごとだ。お前は何も心配しなくていい。お前はオレが守る……こんなに震えて、かわいそうに」
「火炙りの時ほど怖くなかったよ。それはきっとローさんがいてくれるって信じてたから……」
ロー「そ、そうか、もう忘れてしまえ、火炙りなんか」
「何いきなり、焦ってるの……?
火炙りを話題にしちゃ、いけなかった……?」