第4章 水
「宇宙がお届け人を目指しているのは、昔会ったその人に会ったからなの。」
「昔会った人って、名前も知らない人に?」
「うん、宇宙にとってその人は、夢の原点なんだ。
小さい頃から泣き虫だったって言ってたから、その時にその人と泣かないって約束したの。
だから、宇宙は泣かずに頑張っているんじゃないかな。」
(だからアイツ、泣くの我慢してたのか…。)
その子、柚葉さんは昔のことを教えてくれた。
初めは、そんな名前も知らない人との約束なんて、馬鹿らしいと思っていた。
他の人にとっては、どうでもいいことかもしれないが、
でも、アイツ…宇宙にとっては、とてもとても大事な約束だったんだ。
(わかってないのは、オレのほうじゃんか!)
何も知らずに、アイツにひどいことを言ってしまったと、オレは悟った。