第3章 練習
(よし、浮かべたっ!)
私は心の中でガッツポーズをする。
「まずは、あそこの木々の間を飛んでみろ!」
「うん!」
白井くんに指示され、不安定ではあるが飛びながら、ゆっくり木々に近づく。
(えっと…体重移動を素早くして、軽やかに飛べばいいんだよね…。)
私は授業で習ったことを、頭で繰り返し復習する。
すると考えることに夢中で、ほうきをコントロールするのを忘れていて、
ゴンっ!!
「ぃでっっ!」
木に思いっ切りぶつかってしまった。
「おい、余計なこと考えるな!集中しろ!」
「分かってるってば…。いてて…。」
自分にしか聞こえない声で、呟く。
気を取り直して、もう一度挑戦する。
ゆらゆらと、とてもゆっくりだが木々の間を通り抜けることができた。