第4章 代表決定戦

均衡が訪れる

こうなったらどちらかが綻ぶのを待つしかない

両チーム２連戦でギリギリのところで戦ってる

そんな時

青城の16番のミスが目立ち始める

ミスだけならまだしもコート内の雰囲気も悪くなり

ついには国見くんと交代した

なんとなく気になって、16番を見ていると

「で、デニーロが壁ドン？！」

「歩ちゃん、何か言った？」

不思議そうにやっちゃんが訊ねる

「いや、こっちの話」

矢巾さん、あんなアツイ人やったんや
ただのロバートデニーロちゃうかったんやな

勝ちたい気持ちは向こうも一緒

しばらくすると16番がコートに戻る

「戻るの早かったな」

みんなで言い合う

矢巾さんが何言うたか知らんけどスイッチ入ってるやん

あっという間に20点台

ここで…

山口くん…

「山口くーんナイッサー！」

やっちゃんが叫ぶと山口くんはこちらを振り返り、コクンと頷く

ツッキーが山口くんにボールを渡す

その姿を見るだけで視界が歪む

山口くんのサーブはめっちゃ良かったけど、相手の執念も凄まじく一本で切られる

いよいよマッチポイント

ノヤさんが抜ける…

このタイミングでスガさん

「スガさんっっ！」

大声で呼ぶけど、あとの言葉が続かない

頑張れ？ナイッサー？

なんて言ったらいい？

サーブミスっても決められても終わりの相手チームのマッチポイントで入るスガさんに

かける言葉なんて見つけられへん

それでも私の声に気付いたスガさんは振り返り、ニコッと笑った

そして…

サーブいいとこ入る

みんなの気迫溢れるプレー

全員一気に走り出すシンクロ攻撃！

影山くん、誰使う…

このタイミングで

ツーアタック



及川さんが走り込むけど届かずボールが落ちる


「うわぁぁぁぁあ！これで同点っ」

「この場面でツー？！ほんま影山くんハンパないわ！」

コート内もコート外も騒然とする


もう一度スガさんのサーブ

相手も諦めない

繋ぐ

及川さんが必死でボールを追いかけて

コート外から岩泉さんを指差す

ゾクリと鳥肌が立つ

やっぱ及川さん

チャラチャラしてへん方が

死ぬほどかっこいい

及川さんのロングトスが岩泉さんに繋がり、スパイクが放たれる

レシーブが繋がる

祈るように手を合わせる