第6章 水族館
「では行こう」
「はい!」
「こっちだ」と着いてくるよう促し、駅を出て錆兎の家までの道のりを2人で歩く。
「錆兎さんてどんな方なんですか?」
「そうだな…、正義感が強くて周りに気配りもできる、頼りになる奴だ」
「へぇー、…ちょっと緊張してきちゃいました」
「錆兎は優しい奴だから大丈夫だ」
心配するなと言ってやると、「よかった」と言ってにこっと笑った。
そんな話をしつつ、俺はポケットに忍ばせた例のモノに手を伸ばす。
コイツをいつ出せばいいのだろうか。
サプライズ…というものになるのだろうが、なんせやった事が一度もないのでどう切り出していいのか全く分からない。
サラッと渡してしまおうか。
いや、こんな道端で?
やはり今ではない気がする…
と、頭の中でごちゃごちゃと考えている間に、タイミングを見失う。
気が付けば、もう錆兎の家の前に着いてしまった。
これはまた後にしよう…
一旦置いとく事にして、俺は錆兎の家のチャイムを鳴らす。
すると、玄関のドアが開く前に、花里はサッと俺の後ろに隠れてしまった。
どうしたのだろうか…
「おかえり義勇、早かったな」
「あぁ、伊黒達が他に行く所があるらしく、解散になった」
「なんだ、伊黒達と一緒だったのか。…で、後ろの子は?」
錆兎が俺の後ろを指差す。
もう隠れられないと観念したのか、少し強張った顔でそっと後ろから出てきた。
「こ、…こんにちは」
大丈夫、と伝えてはいたが…、やはり緊張しているのだろうか。
挨拶が若干ぎこちない。
「錆兎、この子が花里だ」
「柚葉ちゃんか!何となくそうだとは思ってたんだ。こんにちは、鱗滝錆兎です。よろしくね」
錆兎が笑い掛けると、緊張が和らいだようで、強張っていた顔も段々とほぐれていく。
「… 花里柚葉です。よろしくお願いします」
花里はぺこりと頭を下げた。
「うん!義勇から聞いてると思うんだけど、俺達幼馴染なんだ」
そう言って俺の肩をガッと掴み、肩を組む錆兎。
花里は、憧れるような、キラキラした目で俺達を見ていた。