第9章 生命と選択
『我が声―…聞こえるか』
(誰―…?)
美穂子はゆっくりと目を開けると、声の聞こえる方向を見た。
そこには、水の中に美穂子とさほど変わらない背丈の白い丸いものが見えた。
『我、水神なり』
白く丸い物体はゆっくりと、長い―…白い龍へと姿を変えた。
瞳まで真っ白な龍は、蛇のような鱗に包まれ、その大きさはめぐみとさほど変わらない。
『我が水の加護を受けし、人の子。そなたは何を願う』
(願い―…?)
『水の加護は複数与えられぬ。願え、加護を与えし先を』
(なんの―…話をしているの?)
『時は刻一刻と迫っておる。願え、加護の与えし先を』