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わたしは漁火

第2章 2



「ん…」

有羽は小さく声を漏らした。彼女の体はイカの巨大な足に抱かれ、全身をまさぐられていた。
数本の足はTシャツやハーフパンツの中に入り込み、愛撫するように体の上を滑っている。柔らかく、なまめかしく。そうだ、驚くべきことに、有羽はこの巨大なイカから性的行為を受けていた。

「有羽、かわいいな」

なんとイカは喋りだした。イカは足の付け根に「イカとんび」と呼ばれる口を持っている。しかし舌はない。人語を発声できるはずはないのだが、それでもこのイカは大変流暢に有羽に話し続けた。

「寒くないか?ここは冷えるからな」
有羽も慣れたように返事をした。
「まだちょっと寒い。ねえ、はやく熱くして」

イカは満足そうによしよしと答えると、足をぬるりと動かした。
イカの足には無数の吸盤がついているが、吸盤の中には固い歯のようなものが環状に並んでいる。有羽の胸の先を、その細かな凹凸がザラリとなで上げた。

「あっ…」
有羽はたまらず体を震わせた。
足は2本に増え、有羽の左右両方の胸を、その膨らみをなぞるように擦り続ける。

「んっ…。あっ、いい…。それ好き…」

イカのまとう体液によって、有羽の体はヌメヌメとよく滑る。そこに固い吸盤の歯が当たるのが、なんとも言えず快感なのだ。有羽の胸の突起は固く立ち上がり、イカのもたらす痛気持ちよさに身を委ねていた。次第に体温も上がり始め、寒さを忘れた有羽は顔を火照らせ、両脚を擦り合わせた。

「触って欲しいんだろう?」
「はぁはぁ…うん。触って、はやく…」
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