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short PARADOXXX(ハイキュー)

第25章 reward 赤葦


「はい」

「赤葦くんは、真面目で良い仕事するって知ってるから、期待してるよ」

そう言って肘で突かれる

「…うび」

「ん?」

「橘さんの期待に応えられたら、ご褒美くれますか?」

俺がそう言うと、彼女はにっこり笑って

「もちろん!」

と言った





数週間後、宇内先生と俺はVリーグの試合を見るために仙台にいた

宇内先生は、あの烏野高校のOBで春高の出場経験もあるといっていた

俺の方はと言うと、木兎さんと日向が同じチームにいるのだから見ないわけにはいかない

こんなにワクワクする試合を観るのはいつぶりだろう


派手で観客を沸かせる木兎さんのスーパープレーが炸裂する

高校時代、調子にムラがあって、メンタルがプレーに影響していた木兎さんだったが、その頃の彼はもういない

本人の宣言通り、彼はただのエースになったのだ

夢を叶え、プロのバレーボール選手として活躍する木兎さんを見て、久しぶりに熱が滾った

そしてそれは隣にいた宇内先生も同じで…

仙台に一泊して帰る予定が、早く帰ってネームを描きたいと言いだして東京に蜻蛉返りした

宇内先生はバレーボール漫画を描く

木兎さんを取材させてもらって、構想が広がったのか帰りの新幹線でもしきりにペンを走らせていた

あの、漫画から抜け出てきたような木兎さんを主人公にした漫画

どんな作品になるのかと考えるだけでもワクワクしたし、久しぶりに木兎さんと話せたこともいい刺激になった

この話を一刻も早く橘さんに伝えたい、そう思って次の日かなり早い時間に出社した

もしかしたらまだ彼女も来ていないかもしれない

と、思ったがフロアには明かりがついていて、人の気配がする


「おはようございます」


扉を開けて声をかけるが、姿は見えない



「おはよー、その声は…あ、やっぱり赤葦くんだ!」


何故かデスクの下からヒョコっと橘さんが登場する


「どうかしたんですか?」


「なんかさー、パソコンの調子が悪くて…私、昔っから活字とか手書きが大好きなアナログ人間だから、もうさっぱり分かんなくて」

そう言って彼女はおどけたように笑う

「意外です、橘さんにも苦手なことあったんですね」

「あるよー案外抜けてるトコあるから、注意してね」
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