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short PARADOXXX(ハイキュー)

第25章 reward 赤葦


「橘さーん!オダ先生の原稿、貰ってきました!」

同期の田中が大声を出しながら部屋に入ってくる

「よしっ!よくやったね田中くん!オダ先生、投票数もケタチだよ!今日はパイセンがご褒美あげよう!何がいい?」

俺たちのリーダー、橘さんが明るく訊ねる

「焼き肉がいいっす!」

「おっけー!じゃあ今日はみんな早めに切り上げて、焼き肉行くよー!」

橘さんの掛け声に、全員がオーッと士気を高めた


俺は編集者として少年誌の担当をしている

そして橘さんは俺たちのチームリーダー

年齢は3個上だが、彼女は短大卒で入社したらしく俺より5年先輩になる

入社当初から優秀だった橘さんは、女性としては異例の出世で、若くしてチームリーダーに抜擢されたのだが、面倒見が良く姉御肌の彼女はみんなから慕われていた

その美貌も相まって、高嶺の花的な存在で後輩の男たちは全員彼女に憧れているが、さすがに手を出そうというような勇気のあるやつはいなかった

俺もその1人で…

入社直後から美しく逞しい彼女に好意を抱いていたが、あまりに傍にいるせいか、はたまた右も左も分からない新入社員だった頃を知られているからか、とても男として見られているとは思えなかった



その日の夜は宣言通り、全員で定時退社して焼肉屋に向かった

努力して、結果を出した後輩のことはこうして労ってくれる、そんな優しいところも俺は好きだった

でも手放しで喜べないのは…

俺が担当する宇内先生の連載はもう打ち切りが決まっている

打ち切りが決まってるってことは人気がなかったってこと

先生と共に魅力的な作品を作ることができなかったという点では、編集者としての力不足だということだろう

ジョッキに注がれたビールを見ながら、ため息をつくと


「赤葦くん、おつかれ」

と橘さんが、グラスを片手に隣に座る

多分、元気がない俺を気にしてわざわざ隣に来てくれたんだろう


「お疲れ様です」

「元気ないね」

「はい…まぁ」

「打ち切りは仕方ないよ、もう決まったことだし…だから次は宇内先生とじっくり話し合って2人が本当に作りたい作品を見せてよ」
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