第1章 序章 約束
「答えろ!
なぜあのような…馬鹿な……」
宿儺は倒れ込む女を目の前に
力なく膝をついた
「馬鹿はどっちやっちゅーの」
女は笑う
「可愛い弟分を助けたんのも
あての大事な役目や」
女は優しく宿儺の頬を撫でた
その指先には宿儺の涙が触れる
「男の子がこんなことで泣いたあかんよ
胸張ってしゃんとしい」
「誰が貴様の弟分だ!」
宿儺はその手を力強く握った
冷たくひんやりとした手を
「俺は…」
こぼれ落ちそうになった言葉をプライドが閉じ込める
次の言葉を言えずに宿儺は
ぐっ…
と黙り込んでしまった