第1章 、
「あ〜、授業だっる」
ノートをうちわ代わりにパタパタと仰ぐクラスメイト。外からは今が人生の全盛期であろう蝉の鳴き声が煩い程に聞こえてくる。
本格的な夏はまだこれからと言うのに、既に暑さに体力を奪われてしまっている私は、机に突っ伏して寝るにも寝れない時間を過ごしていた。
「こら、起きろ。」
強面の担任から毎日聞いている叱りの言葉を受けながら重たい身体を何とか起こすと、何事も無かったかのように授業は進められて行った。
辺りを見回すと、この教室へ共に通う3名のクラスメイトが笑いながらこちらを見ていた。
キンコンカンコンと授業が終わる合図が鳴り響く。それを聞きながら両手を広げて全身を思いっきり伸ばした。「はやくゲームやろ〜ぜ」そう言った彼の言葉に皆して賛成し、早々と寮へ向かった。
集合場所はいつも私の部屋。一旦解散し徐々に集まるのが恒例だ。皆で食べる為に、と用意しておいたお菓子を机の上に並べて待っていると早速1人目の来客だ。
「チョット動くだけで、あち〜〜」そう言いながら、勝手にズカズカと入ってくる友人、五条悟。
白い髪に青い瞳、はっきり言ってイケメン。それに加えて高身長。外見だけで言うと超タイプだ。なんでも器用にこなす所もズルい。私たちはよく「悟は性格だけホントに終わってるよな」と言うが、なんだかんだ友達想いな良い奴で憎めない。
悟の手にはソーダ味の棒アイス。「ほい」と言いながら私に向かって食べかけのそれを差し出した。
そのままガブりと食いつくと、キーンと頭に頭痛が走る。それに苦しむ私を見て奴は楽しそうに笑っていた。やはり性格は終わっている。
「どーせアイツら来るの遅いし、先になんかやってよーぜ」と言って何のゲームをするか選んでいた。