• テキストサイズ

【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第3章 人でなし




その一声で、歓喜に沸き立つ研究員たちが

ピタリと動きを止める。



「…!

このようなところは貴方様の来る場所では…」



所長が慌てて駆け寄る。



「良いんだよ。私が無理を言って入らせてもらったんだ。

…ところで?」



気品のある男の口からは想像出来ないほど

冷酷な声が響く。




「こちらを、ご覧ください…」



所長がニヤリと笑うと、

不気味に輝く金歯が唇の隙間からのぞく。




男は研究員からゴム手袋を受け取るとそっとはめた。

1歩、また1歩と顕微鏡に近づく。



覗き込んだその先には、

喉から手が出るほど待ち望んでいたモノがあった。



「おぉ…おぉ…!!

待っていたよ。私の愛するマデイラ…」




心酔した面持ちで言うと

男は研究所を後にした。






/ 272ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp