第11章 愛は目に見えずとも 【黒無常】
謝「おや?それはそれは……」
白さんの言葉に被せるかのようにベッドから起き上がって、扉の方にずんずん足音を立てて出ていこうとした。
ドアノブに手を掛けてガチャと回そうとした時__
いきなり影が落ちてくる。
私を簡単に覆ってしまう位の影が。
どろり…傘の入れ替わる音と共に出てきた。
今最も会いたくないあいつが出て来てしまった。
『な………ッ!!』
ドアノブに回していた手の上からあいつの手が被さられる。
その手はやけに冷たい。
しかし私の体温は上昇してるので、冷たい手なんてかき消してしまうほど火照っているようだ。
范「逃げられないぞ。この俺に気に入られたんだからな。」
『は、……きゃっ!?』
あっけらかんとしていた私の手をグイッと引っ張り、後ろ向きに倒れだした背中と膝裏に手を支えられ、そのままグイッと上に持ち上げられた。
所謂、姫抱きだ。