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【twst】ルーク成り代わりは自由に生きたい

第1章 1


目の前の鹿に照準を合わせる。
キリキリと弓矢を引く音、そして数秒後に放たれる矢。
それは、鹿の脳天を直撃し、鹿は倒れた。

「よしっ!」

私──ルーク・ハントは、ガッツポーズをして木から飛び降りた。
大きなツノが特徴的なオスの鹿の元へ駆け寄ると、すでに息はない。
狩りは成功だ!!
持ち帰って捌くのは父さんにやってもらおう。血塗れになるの嫌だし。
今日の狩りの成果は、鹿と野ウサギ二匹。まぁまぁの成果かな。

「父さーん! 後は頼んだよー!」

獲物を父さんに押し付けて、私は汚れた体を洗うために風呂場へ直行する。
ふと、鏡を見ると金髪に翡翠色の瞳を持つ美男子と目があった。

私……実は前世の記憶がある。
何言ってんの?とか頭大丈夫?とか言いたいことはあるだろうけど、とりあえず黙って聞きやがれ下さい。

前世はどこにでもいる普通の大学生だった。
ただ、親がちょっとばかしうるさい人で、女の子らしさというものを強要した。
服装は清楚を意識して、丈の長いスカートかワンピース、髪は伸ばして綺麗に纏める、言葉使いは女の子らしく、などなど……。
おぉう……思い出しただけでも寒気がするぜ。
よく我慢できたな、前世の私よ。

それに終止符が打たれたのは突然だった。
大学からの帰り道、車に撥ねられた。
しかもそいつは、10メートルほど引きずってから私を置いて逃げた。
意識が遠のく中「男の子になって自由に生きたい」と願ったら、なんと本当に男の子になって生まれ変わったんだ。不思議。
しかもね!これがまたイケメンなんだわ!!
今世の両親が美男美女だからなのか、その子供である私も美少年として生まれてきちゃったのさ!!!
正直に言うと前世の自分の顔より好きだ。

今世では当たり前だけど、女の子らしくなんて強要されない。
木登りしても怒られないし、喧嘩だってする。動きやすさ重視の可愛くない服を着ても誰も咎めない。
そして動物と追いかけっこして狩りをするのが楽しい!たまに反撃くらって突き飛ばされたりもするけど、痛みよりも楽しさが上回って全然苦じゃない。
前世の親が見たら卒倒しそうだけど、もう関係ないし。

……と、まぁなかなかに人生謳歌してますが、私を轢き殺した犯人を許すかはまた別問題でして。
もし、次に相見える時があればその時は覚悟しやがれ下さい。
ものすっっっごく痛かったんだからね!!!!!

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