第19章 ※甘い夜
「、、…出すぞ。」
締め付けられたのと同時に、杏寿郎は腰を最奥に押し込む様に擦り付け、数回、精を吐き出す。腰から背中に突き抜ける快感で顔が歪み、食いしばった歯の隙間からは吐息が漏れ、足が震えた。そのまま倒れこむ。
杏寿郎は肩で息をして少しの余韻に浸った後、がばっと顔を上げて、背中にしがみついてビクビクと痙攣しているの顔を見る。
「っ、すまない。大丈夫か?」
力なく背中に伸ばされた腕をそっと外し覗き込む。は熱に浮かされてぼんやりした顔で杏寿郎を見る。ふーふーと荒い息をしていたが、目が合うとまた抱き付いた。
「杏寿郎。大好き…私、気持ち良すぎてどうにかなっちゃうかと思った。」
「、。俺も大好きだ。初めてでこんな無理をさせて悪かった。」
杏寿郎はぎゅっと抱きしめながら申し訳なさそうに言う。
「杏寿郎はすぐ謝る。私いっぱい気持ちよかった。」
「杏寿郎は?」
は甘い声で甘えるように言い、少し体を離して杏寿郎の顔を見つめる。
「俺も、我を忘れるくらい良かった。」
少し赤くなりながら言う杏寿郎の顔を見て「じゃあいっしょだ。」と満足そうに笑ってちゅっと唇を重ねる。
「あーー全く。君には適わない。」
杏寿郎はぎゅっと抱きしめ、小さくため息をついた。まだ熱を持っているそれをの中からずるりと抜き、の横に寝転んだ。
2人は手を繋いで天井をぼんやりと見た。
「こんなにも幸せな気持ちになるとは思わなかった。」
の手をぎゅっと握りながら杏寿郎は言う。
「ほんとだね。満ち足りた気分。」
もぎゅっと握り返す。
「溺れてしまいそうだ。」
の方を見てふっと笑う。
「…そんなの、私はもうとっくに。」
二人で目を合わせて笑い、顔を寄せる。杏寿郎は小さな声で「では俺も溺れてしまおう。」と呟くと、自分の額との額をこつんと当てる。ちゅっちゅっと口づけを交わした。
その後も何度も肌を重ね、抱き合って眠った。
次の日
杏寿郎は槇寿郎から呼ばれた。
「仲が良いのは良いことだが、千寿郎もいることだし、声と時間を考えろ。次の日の任務にも支障がでるだろう。」と言いにくそうに怒られた。