第10章 無限城
臨月になった星波は、布でおしめを作ったり、毛糸で帽子や靴下を編んだりと、鬼狩りとは離れた穏やかな日々を過ごしていた。
「星波…」
うたた寝をしていた星波は名を呼ばれハッと顔を上げる。
「厳勝様っ!ずっとお姿が見えないので心配しておりましたっ」
「会うのはこれで最後になるだろう…大きな戦いが始まる…」
「そんなっ…私は誰も失いたくありませんっ。仲間も…厳勝様も。みんなが平和に暮らせる未来はないのですか!?」
「ない、な…」
悲しげに眉を下げる厳勝。
「星波、腹の子を立派に育て、幸せに生きろ…」
厳勝が消えた。