第1章 呼吸
10年後
鱗滝は星波が鬼殺隊となることを望まなかったため、基礎的な体力作りはさせていたが剣を握らせることは一切せず、大切に大切に育てていた。
数年前から鱗滝の元で修行をすることになった義勇と錆兎のことを本当の兄のように慕い、星波は片時も離れようとせずいつも訓練を見守っていた。
「義勇ー!錆兎ー!稽古が終わったら一緒に川に遊びに行こー!」
「よし!義勇、どっちが高く飛び込めるか競走だ!」
錆兎が服をガバッと脱ぐと義勇も続いて脱ぎ始める。
「私も飛び込むーっ!」
星波が服に手をかけると義勇と錆兎が慌てて駆け出し、星波の手を止めるのだった。
またある日は、
「義勇、錆兎、一緒に寝てもいい?」
自分の枕を持ち部屋の外から星波がおずおずと聞くと、かわいく甘える星波を断ることなどできないが、13歳の思春期の2人は、あっという間に眠りに落ち暖を求めてすり寄る星波に顔を赤らめ、長い長い夜を過ごすのだった。
「義勇、起きているか?」
「あぁ。起きている。」
「修行だな…」