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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第14章 意外な一面


『私は小さい頃から何で自分はこの家に生まれて来たんだろうと思っていました。嫌だったんです。』

ミスティは幼少時代の自分の事を話し始めた。

『毎日勉強とお稽古事ばかりでした。近所の子供達と遊ぶ事は出来ずずっと独りぼっちでした。両親も私を愛でてくれることは無く、家の繁栄の為の道具と思っていたと思います。』

アリスは黙って聞いている。

『両親の決めた婚約者も居ました。』

これにはアリスもレインも驚いた。

「…ミスティさんに婚約者?」

『はい。両親が決めた相手でした。好きでもない相手と結婚させられる未来しか無いのかと絶望しました。でも、初めて会った時に子供ながら同い年の彼に惹かれる自分が居ました。この人とずっと一緒に居たい、と。』

同い年の知り合い、これはこの婚約者の事かとレインは何時ぞやのミスティの言葉を思い出していた。

『彼との毎日は刺激的でモノクロの私の小さな世界に彼だけが色を足してくれる存在でした。でもある時、色々あり婚約が破談となり彼と会えなくなりました。私には彼が必要だし一緒に居たいという思いが強くなっていきました。彼も同じでした。私と彼は家を捨て共に生きようと子供ながら誓い家を出ました。』

「…凄い!それでどうなったの?」

『でも彼とは上手くいきませんでした。事故に遭い彼の記憶から私だけ居なくなってしまいました。』

「えっ?」

アリスもレインも衝撃的な展開に言葉を失った。

『…悲しかった。必ず思い出してくれると信じて数年…彼の記憶は戻らなかった。彼と生きる道を選んだ私は何もかも失いました。私は彼とは別の道を選びました。それから色々な国々に行き生活しましたが、そこで世界の現状を知りました。飢えに苦しむ人々、貧困で満足な教育を受ける事が出来ない子供達…』

ミスティはふっと笑い自嘲するように言った。

『私は自分が不幸だと思っていましたが、食事も教育も両親から与えられていた私の当たり前は恵まれたものだった事に気づきました。私は両親への不満から家を出るという裏切行為をしました。私を育ててくれた事に感謝することもなく…』

ミスティはアリスの目を見つめて言った。

『両親への感謝の気持ち…伝える事が出来る時に伝えるべきです。アリス様にとってはそれが今なのです。』

──だから私に出来る限りの事を致します、と。
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