【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第14章 意外な一面
「却下。」
『お願いします!』
「無理だ。」
『お願いします!』
「お前は馬鹿なのか?」
アリスと外出したいと申し出たミスティであったが、予想通りレインの許可が下りない。
「アリス様は一国の令嬢だぞ?何かあってからでは遅い。」
分かってる。ミスティもそんな事は百も承知。でも、アリスが望んでいる。裕福な家庭に育ち何でも与えられて育った子供が母親の為にお小遣いを貯めて自分で贈り物をしたいと願っているのだ。
「分かったなら早く戻れ。」
黙ったミスティに漸く観念したかとレインは思った。
『…夫人はアリス様の望むことは可能な限り応えて欲しいと仰られました。これが…』
「お前はそれでもCP9か!?分かるだろ!?狙われている人間が人混みに行くのがどれだけ危険なのか!」
『…っ』
ミスティを遮り、レインが声を荒らげた。いつもクールで冷静なレインにしては珍しいと同じ部屋に居たセツナは思った。
『…すみません。戻ります。』
ミスティはこれ以上言っても無理だと判断し部屋を出た。
──
「…ミスティさん?」
『……。』
「ねぇ、ミスティさん!」
『!!…アリス様、申し訳ございません。』
「ミスティさんがぼーっとしてるの珍しいね!」
『…アリス様、必ず奥様への贈り物準備出来るよう手筈を整えます。もう少しお待ち下さい。』
「ごめんね、ミスティさん。迷惑掛けて…」
ミスティはしまった、と思った。アリスは優しい子だ。心配をかけるような事を言ってしまったと後悔した。
『私はアリス様のお力になりたいのです。』
俯くアリスの手をとりギュッと握って答えた。
「…でもその事でスティルハートさんと喧嘩したんでしょ?」
『!…喧嘩ではありません。必要な意見交換ですよ?』
…怒鳴られたけど。
「私のせいで2人が仲悪くなるのは嫌だな。」
…仲悪くなる程の関係でもないけど。
『彼はアリス様に危険が及ばないように常に考えています。私は護衛の立場を忘れ私情を挟んでしまいました。私が悪いんです。』
「…私情?」
アリスの様子を見に部屋まで来たレインは喧嘩云々の下りから話を聞くはめになったが、部屋の外で気配を消し留まる程興味を持ったミスティの発言。
──私の昔話を聞いて頂けますか、と。