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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第13章 親の思いと子の思い


散歩に誘って以降、アリスはミスティに少しずつ気を許すようになった。

「ミスティさん、これはどう解くの?」

『どちらですか?…あぁ、これはですね…』

「ミスティさん、ここが上手く弾けないの…」

『では私が弾くので聴いていて下さい。』

これには世話人を始め、レインやセツナも驚かずには居られなかった。

──

任務も残り1週間となったある日の夜、中々寝付けないアリスにミスティは提案した。

『ホットミルクお作りしましょうか?』

「…もうすぐお母様のお誕生日なの。」

『奥様の?それはおめでとうございます!』

「……。」

誕生日なのに浮かない顔をするアリスにミスティは尋ねた。

『…アリス様、何か気になられる事が有るのですか?』

「…内緒でお誕生日プレゼントを用意したくてずっとお小遣いを貯めていたの。でも、私1人では街に行けないから…」

確かに、上流階級の貴族の令嬢が1人で街になんて以ての外。世話人の誰かに頼むしかない。

『アリス様はご自分でお選びになりたいのですね?』

ミスティの問いかけにアリスは顔を上げ頷き、ぽつりぽつりと話し出した。

「私ね、お父様とお母様が大好き。だから喜んで貰いたくてお勉強もピアノも頑張ってきた。そしたら、何でも1人で出来る子みたいに思われて…2人に見て貰えなくなって哀しかった。」

ミスティは静かに聞いていた。

「この前、ピアノの先生に言う事ないって褒められたの。でも私のピアノ、上手くなかったでしょ?おべっかで本当に見てくれない先生に嘘ばっか言わないでって言っちゃったの。勉強だって同じ。」

成程、そういう事だったのかとミスティは納得した。

「…お父様とお母様に迷惑を掛けちゃった。2人とも忙しいのに私のせいで…グスっ」

アリスは泣き出してしまった。

『だから奥様に喜んで貰う為に誕生日プレゼントを用意したい…と?』

「うん…いつも有難うって言いたい。」

アリスの気持ちは分かった。出来ることなら叶えてやりたい。ただ、街に出るのは敷地内の庭園とは違う。

『少し時間を下さい。何とかします。』

「本当?」

『はい。ですから安心してお休み下さい、アリス様。』

「有難う!ミスティさん!」

親の思いと子の思い、どうにか繋げたいと思うミスティだった。
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