【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第1章 モノクロの世界にさした色
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ミスティの意見は聞かず勝手に話し出す少年に戸惑いながらも、耳を傾けていると次第に気分も良くなり、楽しい気持ちにさえなってきた。
服装はやはり貴族の家柄なのだろう。クラバットにジャケットが様になっている。
金色の短髪で、喧嘩でもしたのか少し欠けた歯。ニカッと笑う笑顔は太陽のようだ。
人に興味を示さないミスティであったが、目の前の少年には興味が沸いたしむしろ好感が持てた。
じっと見つめていると、話に夢中になっていた少年がこちらの方に目を向けた。
パチっと目が合い視線が絡んだ。
(ドキッ…)
歳が近い男の子と関わりがなかったミスティは、絡んだ視線に心臓が高鳴った。
その時、ミスティの頬が赤く色づいていた事に本人は気付いていない。
?「お前、やっぱり熱でもあるんじゃないのか?顔が赤いぞ!」
『え//大丈夫//もう良くなった!』
ミスティは慌てて答えた。
?「そうか!なら安心だな!そろそろ冷えてきたし戻るか!」
『そうだね。戻ろう。』
少年と居る時間は退屈ではなかったので少し残念な気持ちになったミスティは仕方なくベンチから立ち上がった。
?「そう言えば俺も今日、親に大事な日だからって言われてたんだった~…あー怒られるな笑」
『そうなんだ。……所詮子供は親の都合で振り回される道具に過ぎないよね』
ミスティの静かな呟きは少年の耳に確実に届いた。少年は思った。この子は何か悩んでいる、抱え込んでいる重たいものがあるのだろう…と。今日会ったばかりだが、出来ることなら少しでも力になりたい、と自然とそう思えた。
そして少年は少女に声を掛けた。
?「オレはサボ!!お前は?」
『…ミスティ』
サボ「ミスティか!可愛い名前だな//俺とお前は今日から友達だ!!宜しくな!!」
(名前…褒められた)
初めての経験に戸惑うミスティだったが、初めて出来た友達ということが上回った。
『うん!!』
これが人生を諦めた少女の小さなモノクロの世界にさした色、サボとの出会い。
そして、この出会いが少女の諦めた人生を大きく変えていく出会いだった…