【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第8章 CP9最強の男
ランニングを終えたミスティは、司法の塔内にある鍛錬場へ向かっていた。
歩きながらミスティは自身の身体の変化を感じていた。体力や筋力もついてきたし、体幹も以前より良くなったと思う。身体が鍛えられたことで、覇気も磨きがかかり六式の精度も上がった。
ジャブラとの同行も減りCP9としての任務も順調にこなしていた。
中途半端な六式であることを見抜かれてから、自身の身体と覇気を鍛え直し鍛錬を続けてきて1年が経っていた。
──ガチャッ
ん?
(…誰?)
ミスティは、いつも独りで集中したくてこの時間を選んでいる。
それなのに今日は先約があるのか、鍛錬場の中央に背の高い男が立っている。背を向けており顔が見えない為、状況が分からない。
(…今日は止めておいた方が良いかも。)
動こうとしない男に対し、邪魔しては悪いと思いミスティは鍛錬場から出ようとした。
「撥」
ビュン!
声が先か音が先か判断出来なかったが何かがミスティ目掛けて飛んできたことは分かった。
咄嗟に扉から離れる為、後ろに身体を捻り回転を掛けバク転の様な動きで回避した。と、同時に
ドゴォン!!
扉が吹っ飛んだ。
『っ!』
「気を抜いていたな。」
何をされたのか理解するのに少し時間が掛かったミスティに男が言った。
「CP9ならあれくらい弾くか鉄塊で受けろ。」
そう言いながら振り向きこちらに近づいてくる男の顔を見てようやくミスティは理解した。
(っ!?ロブ・ルッチ!!)
そう。彼はミスティが会うことが出来ずにいたCP9の残りのメンバーの1人であり、CP9最強と呼ばれる男 ロブ・ルッチ。
(ならさっきのは指銃?でも近づいてないのに…)
六式使いの彼なら飛ぶ指銃など朝飯前。なんなら紅茶を飲みながら指を弾くだけで殺れる。そんな彼に自分は試されたのだ。
『鍛錬が足りず申し訳ございません。』
確かに自分は鍛錬をすることしか考えていなかったし、この場で襲われると思っていなかったので、気を抜いていた。
素直に頭を下げたミスティの肩に何かが止まった。
クルッポー
『えっ…ハト?』
「!?…行くぞ、ハットリ。」
そう言うとルッチは鍛錬場から出て行った。
鳩に意識が向いていたミスティはルッチが驚いたことに気付くことはなかった──