【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第16章 眠り姫
──CP8本部拠点
「おはよう!レン兄ぃ!」
「おはようございます、レインさん!」
「…あぁ」
元気な2人の声とは比べるに値しない程の静かな返事だった。
「僕、紅茶飲むからレン兄ぃにも入れるね!あ、セツナも飲むよね?」
「あ、ぼ…僕も飲みたいなぁ!」
「……。」
レインはそんな2人を無視し、手元の資料をパラパラ捲っている。
「…次の任務はもう来てるの?」
コリンの問にレインは答えた。
「あぁ、幾つか来ているが俺が行くからお前達は此処を頼む。」
「え!?またレン兄ぃ1人で?」
「大丈夫なんですか?この所、続けざまに…」
「問題ない。」
部下の心配を他所にレインは答えた。
「…ちゃんと眠れてるの?」
「あぁ。」
「食欲は?あんまり食べてないんじゃ…」
「大丈夫だ…少し席を外す。」
コリンとセツナの心配する様子が煩わしくなったレインは席を立ち部屋を出て行った。
残された2人は、はぁっと溜息をついた。
「やっぱりレン兄ぃ元気ないしイライラしてるね…」
「ですね。任務も最近は部下を連れず、ずっと1人でこなしてますし。」
「だよね…」
「どうしますか?あれじゃいつか倒れちゃうんじゃ…やっぱりあの事が原因ですよね?あれはレインさんのせいじゃないのに!それに部下を連れていったからって同じ目に遭う可能性なんて…」
「うん。本人は言わないけどね。だから僕達にはどうしようも出来ない…」
コリンの言葉にセツナは何も言えなかった。コリンは先程、レインの出ていったドアを見つめ呟いた。
「レン兄ぃ…あれからもう半年だよ?」
主の居ない冷たさだけが残ってしまった無機質な部屋に紅茶の湯気が何だか哀しかった。